帝国データバンクが発表した、「人手不足倒産の動向調査(2023年)」では、人手不足倒産の年間計数が260件で過去最多となりました。
最近ニュースでもよく見かけるようになった「人手不足」の文字。
企業側はどのような対応が求められているのでしょうか。
本記事では、人手不足に関する情報をお届けします。
人手不足倒産とは?
人手不足倒産とは、企業が適切な労働力を確保できずにビジネスが困難になり、最終的に経営破綻に至ることを言います。
日本では少子高齢化が進み、労働人口が減り続けているので深刻な課題となっています。
人手不足倒産は特に中小企業や労働集約型の業界で見られる傾向にあり、適切な人材の不足が経営の危機をもたらす可能性が大いにあります。
企業は人手不足倒産を免れるためにも、業務の効率化や自動化などの対策を打つことが求められています。
人手不足倒産の3つの原因
採用が難しい(求人難)
1つ目の原因は採用が難しいこと(求人難)です。
若手労働者の減少や、仕事に対する価値観の変化も採用を困難にしており、これらの要因が組み合わさって企業の人手不足を深刻化させています。
人件費の高騰
経済の成長やインフレの影響で、人件費が急速に上昇していることも原因です。
中小企業では、これらのコスト上昇を吸収できず、利益を圧迫することが多いです。
特に、労働集約型の産業では人件費の高騰が経営に大きな負担となるケースが多いです。
従業員退職
職場環境の悪化やキャリアアップの機会の欠如が、従業員のモチベーション低下や退職を促していることも原因の1つです。
また、高齢化に伴う自然退職も人手不足を引き起こす要因の一つであり、これらの問題に対応するためには、職場環境の改善や従業員のキャリアパスの確立が急務です。
人手不足倒産の推移
こちらの画像は人手不足倒産の年間推移を示したグラフです。
2014年から2017年までは年間100件未満でしたが、2018年以降は毎年100件を上回っています。
さらに、2023年には260件となり、計測開始から最も人手不足倒産が多い年になりました。
特に人手不足倒産が顕著だったのが、建設業者と物流業者です。
前年度の計測から、建設業者は約2.7倍、物流業者は約2.0倍に増加しました。
結果として、人手不足倒産の260件中、半分の130件は建設業者・物流業者が占める結果になりました。
2024年の景気の懸念材料
順位 | 項目 | ポイント |
1 | 原油・素材価格(の上昇) | 59.0 |
2 | 人手不足 | 40.5 |
3 | 為替(円安) | 37.4 |
4 | 物価上昇(インフレ) | 26.7 |
5 | 金利(の上昇) | 17.8 |
6 | 2024年問題 | 17.0 |
7 | インボイス制度 | 14.8 |
8 | 地政学的リスク | 13.9 |
9 | 中国経済 | 12.6 |
10 | 雇用(の悪化) | 6.4 |
こちらの表は「2024年の景気の懸念材料」の回答結果です。
最も回答数が多かったのが「原油・素材価格(の上昇)」で59.0ポイント(前年比13.7ポイント減少)でした。
次いで多かった回答が、「人手不足」で40.5ポイントでした。
人手不足は前年比14.4ポイント増加で、増加ポイントが一番多い項目となりました。
景気の回復に必要となる対策とは?
順位 | 項目 | ポイント |
1 | 人手不足の解消 | 40.7 |
2 | 中小企業向け支援策の拡充 | 34.8 |
3 | 原材料不足や価格高騰への対策 | 34.6 |
4 | 個人向け減税 | 33.1 |
5 | 個人消費の拡大策 | 32.4 |
6 | 法人向け減税 | 28.8 |
7 | 所得の増加 | 25.5 |
8 | 雇用対策 | 24.5 |
9 | 公共事業費の増額 | 19.0 |
10 | 物価(インフレ)対策 | 16.2 |
こちらの表は「景気回復のために必要な政策」への回答結果です。
最も多かった回答が「人手不足の解消」で40.7ポイントになりました。
まだ前年比12ポイントの増加で増加ポイントも最も高い項目となりました。
まとめ
本記事の内容を以下にまとめます。
- 2023年の人手不足倒産は過去最多で260件
- 人手不足倒産の主な原因は求人難・人件費の高騰・従業員の退職
- 2024年の景気の懸念材料は原油・素材価格の上昇や人手不足
- 景気回復に必要となる対策は人手不足の解消や原材料不足や価格高騰への対策
参考文献