近年、無人販売店は急速な拡大を見せています。
「Amazon Go」や「餃子の無人販売」を聞いたことがある方も多いと思います。
無人販売店は店舗に人を配置しないモデルのため、「人件費が高い」という課題を解決できます。
しかし、無人販売を実現したいけど
- 無人販売のためにどんな準備をすればいいの?
- 万引きなどの盗難が多発しそう…
- 自分たちの店舗が無人で運営できるイメージが湧かない
といったお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。
そこで、この記事では無人販売を開始するにあたって必要になる準備や、無人販売のメリット、補助金の制度など、無人販売を実現するための情報をまとめて紹介します。
無人販売とは
無人販売店は、スタッフを常駐させずに運営できる店舗のことです。
お客様は店舗に来店したら、購入する商品を決め、自動の決済システムで支払いをします。
無人販売店は、さまざまな技術が使用されており、QRコードスキャンや顔認証システム、セルフレジなどがその一例です。
無人販売店は在庫管理や販売データの分析、顧客の購買行動の追跡など、多くのことをデジタル化しています。
そのため、待ち時間削減などのスムーズな購買体験の実現・24時間体制での運営・より広範囲への出店が可能になります。
無人販売店は、小売業界のイノベーションを助長させており、コスト削減・効率性の向上・顧客満足度の向上という複数の利点を兼ね備えています。
今後も技術の進化とともに、多くの無人販売店が登場していくと予想されます。
無人販売店の開業に必要な許可
無人販売店を始める上ではどのような許可が必要になるのでしょうか。
食品販売の際に必要になる許可をまとめました。
- 野菜や果物の場合
-
- 食品衛生責任者の資格
- 保健所への届出
※加工食品の場合は種類によって許可の種類が異なります。
- 自身で製造・冷凍販売する場合
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- 冷凍食品製造業の営業許可
- 肉・水産物・お菓子などの冷凍食品を一緒に販売する場合
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- 複合型冷凍食品製造業の営業許可
- 他社が製造した冷凍食品を販売する場合
-
- 保健所への届出
無人販売店に補助金はでる?
無人販売店を開業する場合に、補助金は出るのでしょうか?
ここでは経済産業省が出した、事業再構築補助金について紹介します。
事業再構築補助金の概要
こちらが、事業概要です。
事業目的
経済産業省|『事業再構築補助金の概要』より
- ポストコロナ・ウィズコロナの時代の経済社会の変化に対応するため、中小企業等の思い切った事業再構築を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的とします。
- コロナの影響で厳しい状況にある中小企業、中堅企業、個人事業主、企業組合等を対象とします。申請後、審査委員が審査の上、予算の範囲内で補助金交付候補者を採択します。
- 予算額として、令和2年度第3次補正予算で1兆1,485億円、令和3年度補正予算で6,123億円、令和4年度予備費で1,000億円、令和4年度第2次補正予算で5,800億円が計上されています。
続いて、こちらが申請要件になります。
申請要件
事業計画について認定経営革新等支援機関の確認を受けること
事業者自身で事業再構築指針に沿った事業計画を作成し、認定経営革新等支援機関の確認を受けること。補助金額が3,000万円を超える案件は金融機関(銀行、信金、ファンド等)の確認も受けること。金融機関が認定経営革新等支援機関を兼ねる場合は、金融機関のみで構いません。
付加価値額を向上させること
補助事業終了後3~5年で付加価値額の年率平均3.0~5.0%(申請枠により異なる)以上増加、又は従業員一人当たり付加価値額の年率平均3.0~5.0%(申請枠により異なる)以上増加させることが必要です。
経済産業省|『事業再構築補助金の概要』より
補助金支払までのプロセス、フォローアップ
補助金支払までのプロセス、フォローアップ
経済産業省|『事業再構築補助金の概要』より
- 補助金は、事業者による支出を確認した後に支払われます。概算払制度を設けますが、補助金交付要綱等に基づき、使途はしっかりと確認することとなります。
- 事業計画は、補助事業期間終了後もフォローアップします。補助事業終了後5年間、経営状況等について、年次報告が必要です。補助金で購入した設備等は、補助金交付要綱等に沿って、厳格に管理することとなります。
以下の画像が補助金支払までのプロセスです。
無人販売のメリット
無人販売にはどのようなメリットがあるのでしょうか。
無人販売のメリットを4つ紹介します。
人件費などのコスト削減
無人販売店では、人件費を削減するなど運営コストを大幅に削減できます。
スタッフを店舗に常駐させる必要がないため、教育コストも不要になり、企業側は運営コストを抑えることができます。
24時間営業の実現
無人での販売になるため24時間営業も可能になります。
24時間体制にすることで、週末や祝日も休むことなくサービスを提供できるため、企業の売上を伸ばすこともできます。
在庫管理の自動化と効率化
無人販売店は在庫管理もデジタルで行うため、店舗運営の効率化を助けます。
人気商品の在庫が少なくなったタイミングで自動発注する仕組みなどを作ることで機会損失をなくすことも可能です。
ユーザー体験の向上
無人販売店ではスマホのアプリ連携やセルフレジなど、最新の技術を使用しています。
そのため、お客様の待ち時間を減らすなどユーザー体験を向上させることもできます。
無人販売のデメリット
無人販売システムには多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。
主要なデメリットを3つ紹介します。
セキュリティ上の問題
無人販売店は万引きなどの盗難対策や、データの情報漏洩のリスク対策を行わなければいけません。
監視カメラの設置が不十分な場合、商品の万引きや器物破損のリスクがあります。
また、オンラインシステムに依存する店舗の場合はデータの管理も厳重に行う必要があります。
万引きなどの盗難対策については、後ほど詳しく解説します。
お客様への対応が難しくなる
無人販売店では、お客様が直接店舗スタッフとコミュニケーションをとることがないため、個別のニーズや問い合わせに対応するのが難しくなります。
そのせいで、顧客満足度に影響を及ぼしてしまう可能性があります。
無人販売店でもお客様への対応を可能にする「遠隔接客サービス」についてはこちらの資料をご確認ください。
IT技術に依存する
無人販売店は、さまざまな技術を使用しています。
そのため、システムの障害や技術的な不具合が発生すると、販売に影響を及ぼす可能性があります。
また、システムのメンテナンスが必要な場合は定期的にコストが発生します。
無人販売店の万引きなどの盗難対策
無人販売店の最大の懸念となる万引き対策はどのように行うのが良いのでしょうか。
基本的な対策を6つ紹介します。
※必ずしも全ての対策が必要なわけではないので、以下の対策からできそうなものを選んで実施しましょう。
監視カメラの設置
高解像度の監視カメラを店内に設置することで、犯罪の抑止力を高めることができます。
監視カメラは、犯罪を実際に抑止するだけでなく、万一の事態が発生した際には、犯人を特定する重要な手段となります。
セキュリティタグの使用
商品にセキュリティタグや電子記事監視(EAS)タグを取り付けることで、商品が無許可で持ち出されようとするとアラームが鳴るシステムを導入することもできます。
顔認識システムの導入
最新の顔認識技術を利用することで、店舗に入る人の顔を記録し、不審な行動を自動で検出するシステムを導入することが可能です。
出入り口のセキュリティ強化
出入り口に自動閉鎖機能を持つセキュリティゲートを設置することで、盗難のリスクを減らすことができます。
また、出入り口での商品のスキャンを義務付けることで、店外への未払い商品の持ち出しを防ぎます。
お客様への啓発
店内の見える場所に「監視カメラ稼働中」や「万引きは犯罪行為です」などの警告看板を設置し、お客様に対して万引きのリスクと罰則について啓発することも重要です。
データ分析を用いた予防策
店舗内のデータを収集し分析することで、万引きが発生しやすい時間帯や特定の商品に対するリスクを特定します。
この情報をもとに、対象となる商品の配置を変更したり、リスクの高い時間帯におけるセキュリティ対策を強化するなど、事前に予防策を講じることができます。
無人販売店の開業に必要なシステム・設備
では実際に、無人販売店を開業するにあたってどのようなシステムや設備が必要になるのでしょうか。
無人販売店に必要となる主要な3つのシステム・設備を紹介します。
無人販売店の詳しい作り方については以下の記事をご覧ください。
セルフレジシステム
セルフレジシステムは、無人販売店でお客様が自ら商品のスキャンと支払いを行えるようにするための重要な設備です。
バーコードスキャナーやタッチスクリーンインターフェースを備え、現金や電子決済のどちらにも対応することで、お客様にとって柔軟かつ迅速な購買体験を実現します。
セルフレジシステムは全てのお客様が利用できるように、簡単で直感的な操作ができるようなツールを選ぶのがいいでしょう。
遠隔接客システム
遠隔接客ツールは、無人販売店における顧客サポートの品質を高めるために不可欠です。
ビデオ通話機能やチャットシステムを通じて、お客様がリアルタイムで店舗のスタッフや専門家に質問やサポートを求めることができます。
上記のセルフレジの操作がわからないお客様などに対して、すぐに遠隔地からサポートが行える接客システムの導入も無人販売店の成功には必須の設備と言えるでしょう。
防犯システム
防犯システムは、無人販売店の安全性を保障する上で極めて重要な役割を果たします。
監視カメラやセキュリティアラーム、入退店管理システムなどを組み合わせることで、不正アクセスや盗難、その他のセキュリティ侵害行為から店舗を保護します。
特に監視カメラは、犯罪の抑止力としてだけでなく、万一の事件が発生した際に証拠としての価値も持ちます。
これらの防犯設備は、無人販売店の運営者だけでなく、お客様にとっても信頼と安心感を提供します。
無人販売の事例やフランチャイズ本部
ここでは無人販売店の事例を紹介します。
【24】スイーツ専門無人販売所
【24】スイーツ専門無人販売所は、日本で初めての年中無休24時間営業のスイーツ専門無人販売です。
トレンドやその時々のニーズにあった商品を展開することで、お客様を飽きさせることなく高い人気を保ち続けています。
決済方法としては、PayPayやLINE Pay、クレジットカードを導入しているのでスムーズな購買体験ができます。
おウチdeお肉
おウチdeお肉は焼き肉などの他にも餃子や韓国料理、スイーツなどの商品も取り揃えています。
「第2のコンビニエンスストア」を目指し、24時間年中無休で営業しています。
餃子香月
餃子の無人販売店では珍しい薄皮餃子の提供で強豪と差別化を図っています。
中国・四国地方を中心に30店舗以上を展開し、美味しい餃子を届けています。
24h無人ホルモン直売所
24h無人ホルモン直売所は和牛冷凍ホルモンの無人販売を行なっているフランチャイズです。
素材や鮮度にこだわりを持った和牛のホルモンを販売しているため、高いリピート率を誇っています。
無人販売店の始め方に関するまとめ
いかがだったでしょうか。
この記事では、無人販売店に必要な準備や無人販売のメリット、補助金の制度について紹介してきました。
無人販売店の利益を上げたい方、これから無人販売店を始めたいと考えている方はぜひこの記事の内容を参考にしていただけると幸いです。
また、弊社には店舗の無人化に関するノウハウや事例が多く揃っていますので、気になるという方は以下のお問い合わせフォームからの連絡をお待ちしております。