近年、全国に店舗が増えているフィットネスジム。
競合店舗が増えていく中で、店舗拡大を実現するために、どのように集客を行い継続率をあげるべきなのでしょうか。
今回のウェビナーでは、全国に140店舗(2023年5月時点)を展開するワールドプラスの代表上口様にフィットネスジム経営のリアルをお話ししていただきました。
また、「hacomono」や「RURA」を使った取り組み事例も紹介しています。
登壇者&会社紹介
今回のウェビナーの登壇者および会社を紹介します。
上口泰正(株式会社ワールドプラス)
同志社大学法学部卒業後に外食やヘルスケア業界等の複数企業の経営職を経て、2022年4月より株式会社ワールドプラスの代表取締役を勤めています。店舗型ビジネスのターン・アラウンドで高い実績を持ち、企業のDX(デジタルトランスフォーメーション)やマーケティングにも精通しています。
大友拓海(株式会社hacomono)
新卒で野村證券株式会社に入社をし、金融商品のリテール営業に従事した後、MAベンダーのアイセールス株式会社に転職しました。フィールドセールスやインサイドセールスなど、SaaS営業を一通り経験し、2022年の5月より株式会社hacomonoに転職しています。
吉住大輔(タイムリープ株式会社)
大手印刷会社にて法人営業を3年半経験した後、創業1年半のタイムリープ株式会社に入社しました。インサイドセールス責任者として、組織の立ち上げからMar/FSの業務整理といった業務全般に関わり、現在はマーケティング部の責任者も兼任しています。
24時間ジムの市場環境
始めに24時間ジムの市場環境についてお話していきます。
市場環境
こちらのグラフが国内フィットネス市場の変化です。
市場の推移としては2011年から2019年までは右肩上がりの連続成長でしたが、コロナウイルスの影響により、令和2年には前年から35%ほど落ち込みました。
しかし翌令和3年からは回復しており、令和4年にはピーク期の平成31年と比べ1割減の水準の4,500億円規模まで回復してきています。
ポストコロナに対応した経営
フィットネス施設の総数に対する24時間ジムが占める割合は約28%(約2,000店舗)とされています。
24時間ジムの中心的プレイヤーは、これまでエニタイムフィットネス、ティップネス、ウェルネスフロンティアでしたが、チョコザップなどの他のプレイヤーも加わってきているためフィットネス業界は競合がひしめき合っている状態と言えます。
このような環境下で市場環境も大きく変化したため、従来型の「成功の方程式」が崩壊しつつあります。そのため以下に紹介するようなポストコロナに対応した経営が求められます。
- 地方・住宅街での小型店ハイブリッドサービス
- 値上げの工夫,オプション商品販売による単価増
- 個々人に最適化したサービス
以下から解説していきます。
地方・住宅街での小型店ハイブリッドサービス
従来は都心の大型総合店とリアルサービスが主流でしたが、ポストコロナでは地方・住宅街での小型店とハイブリッドサービスが求められています。
値上げの工夫、オプション商品販売による単価増
また、従来は値下げの努力や価格訴求を行った低価格化のジムが多くなってきてはいますが、今後は値上げの工夫など、「いかにLTV向上をさせるか?」という観点も非常に重要なフェーズに入ってきています。
個々人に最適化したサービス
そして、これらを実現するためには、ただ単にマシンを設置して施設を提供するだけでなく、顧客の属性を適切に把握して「個々人に最適化したサービス」を提供することが求められています。
ワールドプラスの取り組み
ここからはワールドプラスの基本的情報と具体的な取り組みについて紹介していきます。
ワールドプラスの基本情報
ワールドプラスは「ふらり立ち寄って、いつでも気軽にカラダづくり!」をコンセプトに続けやすさにこだわった、24時間・年中無休のマシン特化型ジムを提供しています。
- リーズナブルな価格
- 24時間365日営業
- シャワー、タオルなどが無料
- 全国の店舗を利用可能
- 高いセキュリティ
- 清潔で衛生的なジム
上記を主な特徴とし、2017年の10月時点の1店舗から、コロナ禍でも店舗数を増やし続け、2023年5月には全国140店舗に到達しています。
以下からワールドプラスの取り組み「新規顧客獲得」と「顧客の継続率向上」の2点について紹介します。
新規顧客獲得
まずは新規顧客獲得について紹介します。
顧客理解
顧客獲得のためにワールドプラスでは顧客の理解を徹底しています。
顧客理解の取り組みとして「アンケート施策」と「デプスインタビュー」の2点を中心に行っています。
アンケート施策では顧客の認知経路やジムの利用目的、ワールドプラスを選んだ理由などを聞き、顧客を細かいセグメントに分けています。
デプスインタビューでは、お客様の入会時に遠隔接客サービスRURAを通して、必ずスタッフとコミュニケーションを取るようにしています。
そこで話した内容を元にカスタマージャーニーを整理して、想定のペルソナを設定しています。
集客
集客のためにワールドプラスでは「入会者分析による販売促進手法の出しわけ」を行っています。
「SNSの運用」、「チラシ」、「看板」、「地域イベント」の4つを主な集客方法として用いているのですが、アタックする顧客の属性によってクリエイティブのデザインなどを細かく分けて集客しています。
顧客の継続率向上
続いて顧客の継続率向上について紹介します。
カスタマージャーニー
入会から退会までのカスタマージャーニーを作成し、顧客の心理を把握するようにしています。
入会直後・2ヶ月後・半年後がお客様が離れやすいタイミングなので、そこでメルマガの配信などを行い、続けていただけるようなアプローチをしています。
遠隔接客
お客様にジムを快適に使っていただくために、再現性やクオリティが高く、お客様が安心できる接客が必要だと考えているので、そのために遠隔接客サービスRURAを利用しています。
経営的にもメリットは大きく、人件費の削減だけでなく、RURA導入後の入会率向上や退会率の低下にも寄与しています。
清潔感
ジムは来場人数によって清掃が必要なタイミングが変動します。
そのため定期清掃は清掃業者に、スポット清掃に関してはTimeeを使って清掃スタッフを派遣することで各店舗を清潔に保っています。
hacomono/RURAを活用した取り組み事例
hacomono/RURAを活用した取り組み事例を紹介していきます。
店舗・施設の業務管理(hacomono)
hacomonoとは予約、入会、決済、顧客管理を一元管理できるオールインワンマネジメントシステムです。
実際にワールドプラスジムでは上の写真のように見学予約から入会までの手続きをhacomonoを活用して運営しています。
ワールドプラスがhacomonoを導入する前のスタッフの業務割合のデータによると掃除と事務作業が大半を占めています。
しかし、hacomonoを導入いただくとこのような事務作業による業務圧迫を減らして顧客への対応により注力できるようになっています。
実際にhacomonoを活用いただくことで、機会損失の削減や顧客への施策に注力することができ、店舗運営の活性化に繋げることができています。
ワールドプラスは上記の3つを主な導入理由としています。
hacoomono導入後の効果としては、サイト閲覧から見学予約までのCVが高くなったこと、直営店舗だけでも月間300万円から400万円の人件費削減に繋がったこと、リアルタイム制で、確認ができるので、効率的な配置ができるようになったことなどが挙げられます。
遠隔接客(RURA)
遠隔接客とは、店頭に置かれたモニター越しに遠隔地から接客できるシステムです。
また、RURAにはスタッフからの声かけやお客様からの呼び出しなどで対面での接客と変わらない対応ができるという特徴もあります。
ワールドプラスでは、上の写真のようにジムの受付を本部スタッフが行っています。
今だと、会員様からの問い合わせだけでなく、入会/退会手続きも全てRURAで行っています。
元々は全国の店舗にスタッフを配置していたのですが、スタッフの接客の質を平準化させることが難しく、お客様へも安定した接客ができなかったそうです。
また、接客の質が上がっただけではなく、RURAは音声に関しても細かな調整を行なっています。
店舗でのRURAの配置場所などを考慮して、接客している時の会話が後ろの方や近くの方には聞こえづらいようになっています。
自分が遠隔接客で話している内容を周りの方に聞かれずに接客を受けられることも特徴です。
しかし、RURAを入れることで本部のスタッフが直接お客様の応対をできるようになりました。
現在は67店舗に対して、約3名のスタッフで対応しています。
RURA導入後の効果としては、1店舗あたりの1ヶ月の平均人件費を60万円(+採用費)から15万円に削減できたことが挙げられます。
また、コスト削減だけでなく、RURAの導入により接客の質を高い水準で平準化できたため、退会率も1.2%の減少を実現し、年間1.6億円の売上効果を出しました。
このようにRURAの導入で人件費の削減と売上アップを同時に達成し、年間約5億円の利益増加に成功しました。
他にもRURAを導入した効果として、顧客のVoCがRURA経由で集められることも挙げられます。
RURA導入による効果を以下に一覧でまとめます。
- 1店舗あたり人件費がRURA×ハコモノで月60万→月15万円(75%削減)
- 習熟スタッフ対応で月次退会率1.2%の減少(リテンションによる年間売上効果1.6億円)
- 入会率もRURA導入後に上昇(自分の店舗でゆったり施設見学・体験できる)
- 顧客のVoCが逆にRURA経由で吸いあがる
登壇企業情報
株式会社ワールドプラス:https://www.worldplus-gym.com/
株式会社hacomono:https://www.hacomono.jp/
タイムリープ株式会社:https://timeleap-rura.com/