皆さんが普段利用するコンビニやスーパーでも、無人レジを目にすることは多いのではないでしょうか。
新型コロナ感染症対策や高齢化社会に伴う労働力不足の対策として、無人店舗が注目されており、私たちの私生活のちょっとしたところでも、無人化に向けた動きは目立つようになってきています。
今回は、そんな無人店舗に関連して、導入事例を交えながら導入にあたって押さえたいポイント・課題を紹介していきます。
今後既存店舗の無人化や展開をお考えの方は、ぜひご参考になさってください。
そもそも無人店舗って何だろう?
無人店舗とは、デジタル技術を駆使して、決済を含めて無人での運営が可能になった店舗のことです。無人店舗と一口に言っても、「完全無人の店舗」や「一部を無人化している店舗」など、いくつかの形態が存在します。
実は、完全無人化と言える店舗は現状ほとんど存在せず、発注業務や清掃・商品の補充・トラブルの対処など、有人でなくては行うことができない業務は現地にいるスタッフが行っていることがほとんどです。
ですが、一部を無人化するだけでも、労働力不足の解消や人件費の削減、感染症対策、顧客データの収集に役立つなど、店舗にとり様々なメリットがあるために昨今取り組もうとする事業者が増加しています。
どんな場面で導入されているの?事例を紹介!
まずは、実際に運用(またはそれに向けた実験)が為されている無人店舗や、そのためのツール事例をご紹介します。
1.顔認証によるレジレス決済(NEC)
NECは、店舗内に設置したカメラや画像認識技術などを組み合わせることで、レジを通さずに決済が可能な「NEC SMART STORE」を2020年2月にオープンしました。
顔認証技術により、利用者は立ち止まらずに入店することが可能で、商品を手に取り退店と同時に決済が行われ、給与システムと連動し精算されるという仕組みになっています。これにより、レジの人員不足を解消し、レジの待ち時間がかかるという課題が解決されます。
2.事前登録、自動決済によるウォークスルー店舗(Catch&Go®)
株式会社ダイエーと株式会社NTTデータは、事前に登録したアプリのバーコードを入店時にかざすとレジを通さずにそのまま退店が可能なウォークスルー店舗を2021年9月にオープンしました。
この店舗は、あらかじめ登録したクレジットカード情報により、退店後すぐさま決済が可能なシステムとなっています。
新型コロナウイルスによりできるだけ非対面・非接触で買い物を済ませたいという社会的なニーズを押さえるとともに、賞味期限の短い商品の見切り販売をスマホで通知する機能も付いており、労働力を減らしながらも購買の機会を増やし、フードロスの削減という課題にも取り組んでいます。
3.QRコードで入退店管理、深夜省人化実験(ローソン)
株式会社ローソンは、2019年8月下旬から約半年間、横浜市磯子区において深夜時間帯に店員を配置せず、お客様のみで決済が可能なスマート店舗(深夜省人化)実験を行いました。
実験店舗では、QRコードもしくは顔撮影で入店の管理を行っています。
上記実験は、特に深夜の深刻な人手不足を解消することが可能かの検証を目的とされていましたが、その後もいくつかの実証実験を繰り返しながら、専用アプリ「Lawson Go」を活用したレジレス店舗の展開に向けたの取り組みを進めているようです。
4.24時間営業無人ジムで人件費削減(ハコジム)
24時間営業、個人貸切型の無人ジムであるハコジムでは、入退場時以外に人と会うことはめったにありません。
会員制で、予約管理システムで予約するだけでトレーニングが可能になっています。
シャワーやアメニティの設備を排除し、清掃も利用者に行ってもらうことでコストカットを実現しています。
参照:24時間個室ジム ハコジム https://hacogym.jp/
トラブルになる前に!無人店舗の課題
先に紹介したような無人店舗の導入事例が増えている一方で、無人店舗には導入における課題もあるようです。
ここからは、新しく店舗の無人化をご検討の方向けに、無人店舗検討時の課題を紹介していきます。
デジタル人材の不足・初期投資
無人店舗の導入には、専用のセンサーやサイネージなど、最新ICTの導入が必要になります。
そのため、それらを使いこなせるデジタル人材が必要になります。
また、無人店舗を導入することは人件費を削減できる一方で、カメラ・センサーの設置、防犯システム、顔認証技術などを含む包括的な設計が必要になることで初期費用が膨大になる場合が多くあります。
長期的視点で考えると費用の削減につながりますが、こうした点で最初のハードルが高いと感じる場合には、いきなり全ての設備を導入し無人化を始めるのではなく、徐々に省人化を進めていくことが望ましいでしょう。
「一息に完全無人化」は現実的ではない
冒頭で説明した通り、無人店舗といっても完全なる無人運営を実現している店舗はほとんどありません。
商品の補充や清掃といったあらかじめ必要と分かっている作業だけでなく、機器の誤作動、購入点数の間違い、停電トラブルなど、サポートのスタッフが必要になる場面が多々発生するためです。
このような問題の一部を解決する仕組みとして、遠隔地からでもスタッフがすぐさまサポートに入れる体制を整えておくことが望ましいものの、そこまでの仕組みを提供している事業者はかなり少ない状況ということは理解しておくべきでしょう。
事前登録が必要、かつ面倒
無人店舗の運営において、商品をもちそのまま退店できるウォークスルー店舗などをはじめとして、決済方法を簡略化させたり、犯罪を防止したりするために利用者に事前登録を求めることが多くの場合必要になります。
この事前登録が面倒であり、高齢者にはハードルが高く利用をあきらめてしまうケースがあります。
このような課題を解決するためにも、事前登録を簡略化できる仕組みや、無人/有人のハイブリッドでフォロー体制を整える必要があります。
時代やニーズに合った無人店舗の実現のために
今回は、近年注目されている無人店舗について、事例とともに課題をご紹介しました。
無人店舗の導入にあたり、主にコスト面、イレギュラー対応への対策、事前登録の心理的ハードルなどに課題があり、これらの課題が残っているからこそ、完全無人の店舗はまだ展開が進んでいないのでしょう。
しかし、新型コロナウイルス問題や人手不足などを解決する手段として、無人店舗の導入は有効な手段であることは確かです。
これからの時代やニーズにあった店舗をつくっていくためにも、これらの課題を解決できるサービスや仕組みを駆使することで、こうした課題を乗り越える必要があるでしょう。
今後無人店舗の導入を考えている方の検討の参考になれば幸いです。
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